相続税対策とお話しすると、必ず出てくるものの一つに、相続時精算課税制度がございます。
一般的に、相続時精算課税制度は、いつになるか分からない相続という形ではなく、本当に子どもがお金を必要としているときに、財産を譲り渡すことができるというメリットがあるとされています。
しかし本当にそうなのでしょうか?

実は、あまり皆様ご存知ないようなのですが、扶養義務者から生活費や教育費の贈与を受けた場合、贈与税の課税対象にはならないのです。
ここで言う、扶養義務者とは国税庁のホームページによりますと、①配偶者②直系血族及び兄弟姉妹③家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族④三親等内の親族で生計を一にする者とありますから、かなり幅が広い事が分かると思います。
つまり必要な都度、生活費や教育費を親から子へ、祖父母から孫へ渡しても、もともと贈与税の課税対象ではないのです。

そう考えると普通の現金の場合、「2500万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません」というメリットを掲げつつも、最終的には相続税が課税されるという制度である相続時精算課税制度を使うよりも、その都度、普通に現金の受け渡し・受け取りをしていたほうが、相続税も贈与税もかからないという結果になります。

では、相続時精算課税制度には相続税対策としては使えないのか?というと、そうでもありません。
例えばですが、アパートや駐車場などの賃料が発生する不動産を、相続時精算課税制度で生前に受け取った場合、最終的に贈与税はかかりますが、そこまでの賃料は相続を受けた人のものになりますので、受け取った側としてのメリットは大きいです。

税理士法人長沼税務会計事務所